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園長コラムcolumn

ともに


心から喜ぶ
 小児科医、三好邦雄さんは、不登校問題等について柔軟な思考と深い洞察力で解明しておられ、現代社会の子どもたちの心の問題点を鋭く指摘しています。例えば、子どもたちの遊びの輪に積極的に入らないのに、大人が誘うと、途端に遊び出すという子どもがいて、そういう子どもの中には、他の子どもたちの遊びを冷静に観察して、大人に褒められるために遊ぶ手順を気にしている子どもがいるというのです。大人のためによい子であろうとする子どもは、緊張を強いられ、身体の不調を来したり、生きる元気を失うことになったりしてしまうこともあるというのです。

 幼児期の子どもの遊びには、段階があって、確かに最初は、他の子どもたちと上手く遊ぶことが出来ません。しかしそれは人間にとって大切なステップで、他者との付き合い方を時にはぶつかり、時には距離を置きながら、少しずつ学んでいき、やがては、みんなと共に楽しく過ごせる子どもへと成長するのです。
        
 本来、子どもという存在は、目的や結果抜きで、その瞬間の楽しさに夢中になるものなのです。楽しさが中心ではなく、結果を先に考えて、褒められるようにやろうとするような不自然なことにならないために大切なのは、周りの大人たちが、その子の失敗も含めて受け止め、心からその子を愛し、「喜ぶ」ことが出来るかどうかということにかかっているのです。
        
 七月を迎えて、いよいよ本格的な夏がやってきました。近年、温暖化現象からか、異常な暑さとなる日も有りますので、子どもたちの命を守るため安全面に配慮しながら、子どもたちが自由に遊んで、元気いっぱいに成長できる様子を心から喜べる夏にしたいと思います。
        
                               【2025年7月】
楽しさを広げる
 新年度が始まって二ヶ月ほど経ちました。この時期、子ども達は、新しい環境にやっと慣れ始めたという頃です。これから、子ども達は、周りの仲間たちとの出会いを通して、例えば自分より幼い子を見て、自分の成長を感じたり、お兄さんお姉さんの様子を見て、憧れを感じたりしながら、自分の世界を少しずつ広げていくことになります。

 鹿島教会では、今月二十九日(日)に、鹿島幼稚園初代園長青木敬和牧師の召天一年記念礼拝を守りますが、青木園長は、その著書『ごらん、幼児のこの“いのちの爆発”を』(文芸社)の中で、子ども達は「コンピューターの千万倍も複雑に『よく』できた『精密機械』を内蔵して生まれてきている」という日本の幼児教育の先駆者、周郷博先生の言葉を引用し、「そして、おっとドッコイ。この精密機械内蔵の赤ちゃんは、“経験”というものを通して“人間”になる。そして、その“経験”とは、その子の周囲の人々と、その“心のはたらき”を自分のもののように感じとること、だそうです。」と記し、子どもは、ご家族をはじめ、園のスタッフやお友達と楽しく過ごす経験を通して豊かな人間へと成長していくと述べておられます。
        
 子ども達に、愛情をたっぷり注ぎながら、子ども達が楽しさを広げていく、その成長の様子を見守っていきたいと思います。
        
                               【2025年6月】
遊びは出会い
 新緑がまぶしい季節がやってきました。この時期、子ども達は、新しい環境と出会い、新しい園の先生達、仲間達との新たな出会いを重ねていきます。そして、子ども達の遊びも、いろいろと広がっていくのですが、4月から夏日になるような最近の気象状況の中、水遊びも大人気です。初めは砂場で砂山を作って遊びますが、しばしばその山が、「北浦」に変わったりもします。バケツで水をどんどん運んで、川や池が出来上がり、大喜びでバシャンと飛び込みます。シャツもパンツも泥だらけです。中には汚れるのが苦手で、後ろで見ている子もいれば、最初から参加しないで、お部屋で遊ぶ子もいます。鹿島幼稚園には、いろんな遊びが盛りだくさんなので、それぞれのペースでしっかり遊べれば良いのです。

 現代社会では、「友達がいないのは、淋しいこと」が当たり前だった時代は去り、「友達だけでなく、人と一緒にいることがストレス」という時代になってしまいました。自分の言いなりになってくれる相手としか人間関係を作れないような淋しい大人にならないためにも、子どもの頃にいろんな出会いを経験することが大切です。遊びの中では、自分の好みに合わない事や、思い通りに反応してくれない相手との出会いも有るかもしれませんが、幼いころに経験するそうした出会いこそが、次のステップへの原動力となるのです。
        
 子ども達の成長にとって、一番大切なのは、「自分は愛されている」と感じながら日々を過ごすことです。鹿島幼稚園でお友達と過ごすための準備や訓練は、一切必要有ません。なぜなら、お家でたっぷりと愛情を受けて過ごした子ども達は、そこで育まれてきた愛情をもとに、園での遊びの中で楽しみながら学びを重ねて、それぞれの出会いの中で、それぞれのペースで「人間関係」を育ててゆくからです。これからも、愛情豊かに子ども達を見守ってゆきたいと思います。
        
                               【2025年5月】
遊びは学び
 進級、そして入園おめでとうございます。

 新年度を迎え、子どもたちの新たな園生活が始まります。子どもにとっての園での生活は、なによりもまずのびのびと「遊ぶこと」です。広い「にじのお庭」でサッカーや、砂場、木のお家、三輪車、ブランコ、お部屋では、積み木、お絵描き・・・毎日、自分で何がしたいかを考え、自由に過ごす園生活の始まりです。鹿島幼稚園で、子どもたちは、自由に遊びます。いろいろある遊びの中から、自分がこうしたいということを自分の意志で決めて遊ぶのです。
        
 鹿島幼稚園は、「子どもたちに、神様から愛されているということを知ってもらい、神と人を愛する人間として成長していって欲しい」という祈りによって創立されました。保護者の皆様にも、子どもたちの成長を通して、神様の愛の素晴らしさを実感していただけることと思います。
        
 子どもは、遊びを通して学びます。たっぷり遊ぶことで、心も体も成長します。
        
 (一年間お読み頂き、ありがとうございました。園長:大塚 愼)
        
 遊びを楽しむことで学び、他者から愛されていることを学び、他者を愛する豊かな人間として成長します。
        
 これから、鹿島幼稚園で、一人一人の子どもが、それぞれの豊かさをいかしながら、仲間達と共にいろんな遊びを通して、楽しく、豊かに学べる世界を作り出せるよう、安全にも十分注意を払いつつ見守っていきます。
        
 (今年度も、このコラムは、大塚園長が毎月執筆していきます)
        
                               【2025年4月】

さあ、漕ぎだそう 奏でよう


神は小さな羊を愛し
 「いつのことだか思い出してごらん あんなことこんなことあったでしょう…」この時期、いろんなところで歌われる定番の『おもいでのアルバム』です。しかし、実は子どもは記憶することが苦手なのです。脳科学の発達によって、脳の細かい分業について解明されてきました。時々「うちの子は、今日は園で何をして遊んだの?」と聞いても答えてくれないというお話を耳にします。大人は心配になってしまいますが、子どもの反応としては、それで問題無いのです。遊びの「楽しさ」を感じるのは前頭葉、感想を述べる「言語」を司るのは側頭葉で、答えてくれない子は、前頭葉をめいっぱい使って、しっかり遊んだ子なのです。そして、遊びを通して豊かに成長した前頭葉は、やがて、その人の脳全体を司る司令塔としての重要な働きを担うことになるのです。

 わたし自身も、園児の頃の記憶は無いのですが、母が何度も話して「覚えさせられた」のは、園でのいたずらが過ぎて、廊下に立たされていたという話しです。先生達もお手上げの前代未聞の「いたずらっ子」だったようです。しかし西宮公同教会附属幼稚園で、みんなに愛されながら成長した「迷えるこひつじ」をその後も神様は愛し続けてくださり、神と人に仕える牧師としての道を備えてくださいました。
        
 聖書には、迷える一匹、大切な一人に徹底的に注がれる愛が記されています。そして、神様の愛を受けた「一匹」の喜びは、世界を変える力ともなるのです。神の徹底した愛の世界で成長した子ども達が、これからも新たな一歩を重ね続けます。
        
 (一年間お読み頂き、ありがとうございました。園長:大塚 愼)
        
                               【2025年3月】
つながり、育ち合う
 阪神淡路大震災から、三十年の時が流れました。

 鹿嶋には、製鉄所もあることからか、関西出身の方が比較的多いのですが、中には、当時被災されたという方も多くおられると思います。私も、実家が神戸市東灘区で、自宅が半壊し、当時は、四国の潮江教会の主任牧師でしたが、しばらくお休みをいただいて、地元でのボランティアなどにも参加させて頂きました。
        
 震災から一年の能登では、今も復興のめどが立たない状況が続いていますが、被災者の中には、能登の状況が、風化しないことが大切だと語る方もおられました。鹿島幼稚園では、今年も石川県のパン屋さんからパンを購入して、支援させて頂く予定ですが、災害の記憶を風化させることなく、それぞれに刻まれた教訓を活かし、人類の未来に活かしていくことが大切であると思います。
        
 鹿島幼稚園でも、定期的に避難訓練を行なっていますが、みんな真剣な表情で、しゃがんで集まっている様子を見ると、いつも伸び伸びと遊んで、しっかり成長しているんだなと感心させられます。
        
 厳しい寒さの日も有りますが、この一年の集大成、そして、年長さんたちは、鹿島幼稚園の集大成の時期を迎えて、それぞれが、慣れ親しんできた環境の中、仲間達の温もりを感じながら、元気一杯、いろんな遊びを展開しています。この二月に、創立六十九年を迎える鹿島幼稚園ですが、これからも、元気一杯遊ぶ「先輩たち」に憧れの眼差しを送りながら共に遊び、育ち合う「後輩たち」が、鹿島幼稚園の未来を創っていってくれるのです。
        
                               【2025年2月】
闇に輝く小さな光
 あけまして、おめでとうございます。

 二〇二五年も、鹿島幼稚園に連なる各ご家庭の皆様にとって、喜びあふれる年となりますようお祈りいたします。
        
 クリスマスに向かうアドベントの期間、園の掲示板にはツリーが飾られ、生木を用いたクリスマスツリーも飾られました。最近一般的には、キラキラ輝くLEDのイルミネーションが主流となっていますが、鹿島幼稚園の子どもたちには、ぶら下がっている赤いリンゴが人気です。これも、自然を大切にする鹿島幼稚園らしい特徴の一つであると思います。
        
 クリスマスには、保護者の皆さんと鹿島教会の有志によるバザーも開かれ、大変楽しい時が与えられましたが、鹿島幼稚園は、「子どもたちにとっての真の楽園を」という鹿島教会の願いで誕生しました。鹿島教会の『四十年の歩み』という教会史には、教会設立に尽力された春日正信さんの次のような言葉が記されています。「一九四八年、初めてのクリスマス会合が、亀屋旅館を会場として開かれた。 …中略… 鹿島教会にとっては記念すべきスタートの楽しい祝会であった。」鹿島幼稚園を産んだ鹿島教会の誕生も、クリスマスでした。
        
 クリスマスは、イエス・キリストという小さな命が誕生した喜びの時です。それは、闇の世に輝いた希望の光でした。クリスマスページェントでも、鹿島幼稚園の幼な子たちの小さな命が光り輝いていました。その光は闇が暗ければ暗い程、まばゆく輝くのです。
        
 新しい年も、子どもたちの命の輝きを守るために、一人一人を大切にする保育を続けていきたいと願います。
        
                               【2025年1月】
温もりを分かち合う
 『みずたまり』(作:森山 京、偕成社)という絵本があります。二〇〇四年十二月、インドネシアのスマトラ島沖で起きた大地震による津波で二十万人以上が犠牲となったことを扱ったこの作品が出版されたのは、東日本大震災から二か月後のことでした。タクという男の子が、自分が普段遊んでいるブランコの下にできる水たまりを誰にも知られないうちに整備してくれているおじさんの存在に気付き、他の誰かの気持ちを考えられるようになっていく…という、子どもの心の成長をえがいた心癒やされる作品です。

 今年のお正月に能登半島を襲った大地震から、やがて一年が経とうとしています。元通りの街になるには、まだまだ時間がかかるようです。被災者の皆様の上に、神様のお守りがあるようお祈りします。鹿島幼稚園では、石川県のパン屋さんからパンを購入したり、鹿島教会でも支援募金を続けています。
        
 鹿島幼稚園では、クリスマスを喜ぶ時を持とうとしています。毎年、子どもたち、保護者の皆様からクリスマス献金をお献げいただき、ウクライナやガザなどの紛争で苦しむ人たち、また、園医や地元の消防などお世話になっている方々を覚えて、献金やプレゼントをお贈りしていますが、クリスマスを迎えるこの時、困難の中に置かれて苦しんでいるお友達がいることに気付ける子どもたちへと成長してくれるよう願っています。
        
 そして、あの馬小屋から届けられる温もりを多くの人々と分かち合えるようなクリスマスを共に喜び祝いたいと思います。
        
                               【2024年12月】
子どもたちに愛される園として
 カーニバルの際には、多数の保護者の皆様にお集まりいただき、ありがとうございました。天候にも恵まれ、今年も、にじのお庭で、親子プログラムにもご参加戴き、赤ちゃんから、おじいさんおばあさんまで、幅広い年齢の皆さんの笑顔が溢れる、嬉しい時となりました。

 コロナ禍以前には、他に場所を借りてカーニバルを行なったこともありましたが、にじのお庭でカーニバルを実施できる何より良い点は、子どもたちが、いつも遊び慣れた場所なので、安心できるということだと思います。
        
 子どもたちは、いつもの園庭で、それぞれお気に入りの遊具や乗り物に乗ったりして遊んでいるのですが、以前園長をしていた宇治教会附属愛児園には、子どもたちに大人気の黄色い三輪車がありました。みんながいっぱい乗るので、ペダルやサドルが何度も壊れて、古いので換えの部品も無くて、当時、三菱造船に勤めていた父に溶接の修理を頼んでいました。
        
 鉄棒、うんてい、ジャングルジムに、木のお家…子どもたちが大好きな鹿島幼稚園で、楽しく安全に遊ぶことが出来る環境を整え続けていきたいと思います。
        
                               【2024年11月】
あなたが共にいるだけで
 いじめや不登校、凶悪事件の年少化等の報道が増え始めて以降、学校教育や家庭でのしつけの事がよりクローズアップされ始めました。特に、親の関わり方が問題視され、育児雑誌等でも、「わが子を凶悪非行に走らせないために」といったようなテーマでしばしば特集が組まれるようにもなりました。

 鹿島幼稚園には、素敵な「育メン」が多くおられますが、日本社会では、まだまだ子育ては母親の責任といった風潮が色濃く残っているようです。その結果、日本のお母さん達は「この子の将来は、私の子育てのやり方一つにかかっている」と全てを背負い込んでしまい、育児不安を募らせ、「しかり方」「ほめ方」のマニュアルを探し求め、中には、育児書を百冊も読んだというお母さんもいるようです。
        
 小児科医の山田真さんは、豊富な臨床例をもとに、「人は母親の育て方で変わるほど、ヤワな存在じゃないですよ。」(『ハッピーチャイルドに育てる十九の知恵』好本恵編、NHK出版より)と、世のお母さん達へエールを送っておられます。 そうです、子育てに「これが正解」というものは無いのです。では、どう育てれば良いのでしょうか?
        
 聖書にはキリスト教を世界中に伝えた弟子たちを支えたのは、復活のキリストが、弟子たちのそばで、彼らを愛し続けたその「愛」であると書かれています。
        
 今年のカーニバルの年長組のテーマも「愛」ですが、子育てのテーマも同じなのです。その子を信じ、その子と共に生き、愛し続けることこそが、その子が素敵に成長するために必要かつ、永遠に変わることのない、真の育児法なのです。
        
                               【2024年10月】
平安に過ごせる恵み
 私は、前任の宇治教会附属愛児園園長の頃から、子どもたちに、動物のパペットを使ってお話しすることがあるのですが、先日も、鹿島幼稚園のみんなにパペットを使ってお話しをしたところ、とても喜んでくれました。人形には、不思議な力があります。保育の中でもお人形は欠かせない遊具です。子どもたちは想像力を働かせて、人形の中に、ある時はお友だち、ある時は赤ちゃんといった様々なイメージを浮かべて、生きた相手としてとらえて、対話しながら遊ぶことができます。そしてそれは、相手の気持ちを思いやったり、考えを想像したりする力を育んでくれます。人形には、そうした子どもたちの心の成長にとって大切な「ファンタジー」の世界を広げる力があるのです。

 今年の夏休みは、平和の祭典、パリオリンピック、パラリンピックに感動する一方で、ウクライナの情勢や「南海トラフ地震臨時情報」に心配しながら過ごされた方も多かったと思いますが、子どもたちの「ファンタジー」の世界を広げるために大切なものは、やはり、子どもたちが安心して過ごせる環境です。世界に目を向けると、争いや災害が絶えない現実がありますが、鹿島幼稚園に集う子どもたちのファンタジーの世界を守るために、今年の秋も、子ども達が安心して遊べる環境を守っていきたいと思います。
        
                               【2024年9月】
子どもたちに愛を
 先月、鹿島幼稚園初代園長青木敬和先生(鹿島教会代2代牧師)が、九十三年という長い生涯を終えて、安らかに天国へと召されました。園長を退かれてからも、ずっと鹿島幼稚園のために祈り、支え続けてくださいました。6月も、「大塚ファミリーの上に神様の祝福が豊かにあるよう祈ってます。」と「応援」のお手紙をいただいたばかりでした。その差出人の欄には、いつものように、本名ではなく、「ぶうぶう」と「天国のアンコロ」とありました。「アンコロ」というのは、二〇二二年に天に召された青木先生のお連れ合いである青木昭子さんの愛称です。鹿島幼稚園を愛し続けてくださった青木先生ご夫妻は、子どもたちから愛を込めて呼ばれていた名前を最後まで大切にされていたのです。ご遺族によると、ずっと昭子さんに会いたがっていたので、今は、天国での再会を心から喜んでいるでしょうとのことでした。そして、これからは、天国から二人で鹿島幼稚園を見守ってくださることでしょう。

 青木先生は、著書『ごらん、幼児のこの“いのちの爆発”を』(文芸社)の中で、「若いパパ・ママたちへの、『ぶうぶう園長応援歌』が出来上がりました。」と、子育てに奮闘する保護者の皆様へ「応援団長」としてのエールを述べ、子育てで最も大切なことは、たっぷりと愛情を注ぐことであると述べておられます。
        
 8月は、平和を祈念し、命の大切さを見つめ直す時でもあります。世界に目を向けても、日本の社会の中でも、子どもたちへの愛がないがしろにされている現実を思わされます。
        
 今年も暑い夏となりましたが、子どもたちと過ごす時間の中で、子どもたちの成長にとって、最も大切なのは「愛」であるということを改めて覚えつつ、例えば、何気なく交わす言葉にも愛情と心を込めながら、共に子どもたちの成長を見守るステキな夏を過ごしていきたいと思います。
        
                               【2024年8月】
遊びを見つける夏
 七月を迎えて、いよいよ本格的な夏の到来です。

 先月の年長さんたちとの「園長とランチ」では、子どもたちからいろんな質問をもらいました。「何色が好きですか?」ときかれて、「濃い青色が好きかな。」と答えると、「あ、それ、今わたしたちが作ってる。」と、掲示板に貼ってる藍染め作りのことを教えてくれました。「何の歌が好きですか?」ときかれて「ぞうさん」と答えると、「ぞーさん、ぞーさん♪」と歌ってくれる子もいました。「何のお花が好き」「チューリップが好きです。」、「何の虫が好き?」「クワガタかな。」と答えると、「あ、僕はカブト」と教えてくれる子もいました。いろんなことに興味を持って、しっかり成長している年長さんたちとのランチタイムは、心癒やされる恵みの時となりました。
        
 夏になると、水での遊びも広がります。砂のケーキやドロンコまんじゅう、小さなトンネル、大きなトンネル、川やダム作りとダイナミックに遊びが展開されていきます。そして、園庭に生い茂る植物、それに群がる虫たちと、いろんな自然に親しみ、それぞれ自分の遊びを見つけて、子どもたちは豊かに成長を重ねていきます。
        
 近年、異常気象により、異常な暑さとなる日も有りますので、この夏も、子どもたちの命を守るため安全面に配慮しながら、子どもたちが充分に自由に遊べる環境を整えていきたいと思います。
        
                               【2024年7月】
子どもたちに楽園を
 鹿島幼稚園は、鹿嶋市に最初に誕生した幼稚園です。鹿嶋市が「鹿島郡鹿島町」であった当時、「鹿島の子どもたちに楽園を」というビジョンに燃えた鹿島教会によって、教会附属幼稚園として創設されました。

 その後、時は流れ、現在は「認定こども園」として歩みを重ねていますが、いずれにせよ、大切なことは、園の体制がどのように変わろうとも、子どもたちが安心して成長できる環境、保育内容を守るということです。子どもたちが、神様に愛されながら、神様の恵みを日々たくさんいただきながら過ごせるよう努めることが、園に与えられている使命であると考えています。
        
 鹿島幼稚園は、創設以来、子どもたち一人一人の個性を尊重し、自立に向けて、共に成長する保育を目指しています。そのために鹿島幼稚園は、遊びを通して学ぶ、自由保育を実践しています。子どもたちは、緑に触れ、虫を発見し、砂や水に興味を持ったり、積み木を積み上げたり、自由な発想で絵を描いたりしながら、仲間と一緒に毎日、その子にとっての「楽しさ」を発見していきます。子どもたちは、強制されるのではなく、自分で考え、行動することで、その子らしい個性を伸ばしながら成長することができるのです。それは甘やかすということではなく、子どもの思いに寄り添うということなのです。これからも鹿島幼稚園は、子どもたちの喜びに寄り添っていきます。
        
                               【2024年6月】
愛を注ぎ続ける
 時々、子どもたちに「園長先生、だ〜いすき。」と言って貰えることがあります。

 子どもたちからそう言って貰えると、なんだか心がほっこりして癒やされると同時に、ああ、この子は、いつも周りの人たちから「だ〜いすき」と言って貰っているんだろうなと感じつつ、「園長先生も、みんなのことだ〜いすきだよ」と応えています。
        
 児童精神科医の佐々木正美さんは、著書『子どもへのまなざし』(福音館書店)の中で、「子どもに一定の成長や発達を促しながら、けれどもその早さや限界は、子どもの歩みのままで良いというふうに、子どものありのままの状態を親が本当に満足して、受け入れてあげられるかどうかが、大切なことなのです。」と述べられ、子育てにおいて「条件つきでない親の愛」の重要性を指摘しておられます。
        
 また、アメリカの子育てカウンセラーとして著名なドロシー博士の『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP研究所)には、「愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ、認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる」と記されています。
        
 周りの人にありのままの自分を受け入れてもらい、愛されて育つ子どもたちは、やがては、周りの人を受け入れ愛することの出来る、自分を信じて自立した人間へと成長していくのです。これからも、ご家庭で、そして、鹿島幼稚園で、たっぷりの愛情を注ぎながら、日々成長していく子どもたちを共に見守っていきたいと思います。
        
                               【2024年5月】
遊びのはじまり
 進級、そして入園おめでとうございます。

 新年度を迎え、子どもたちの新たな園生活が始まります。子どもにとっての生活とは、伸び伸びと「遊ぶこと」です。広い「にじのお庭」でサッカーや、砂場、木のお家、三輪車、ブランコ、お部屋では、積み木、お絵描き・・・園での遊びの始まりです。
        
 鹿島幼稚園で、子どもたちは、自由に遊びます。いろいろある遊びの中から、自分がこうしたいということを自分の意志で決めて遊ぶのです。
        
 大人に指導されたり、許可されたり、命じられたりという世界では、子どもの好奇心や冒険心、創造性といった大切な感性は退化してしまいます。そのような世界では、子どもの自主性は消えてしまい、大人の顔色をうかがい、「良い子」を演じるような世界となってしまうのです。
        
 自由を与えられ、時には失敗の大切さも体験し、最終的には、一人で遊ぶよりも、友だちと一緒の方が楽しいな、すばらしいなということを感じられるような世界を鹿島幼稚園は大切にしています。
        
 子どもは、遊びを通して学びます。たっぷり遊ぶことで、心も体も成長します。これから、鹿島幼稚園で、一人一人の子どもが、それぞれの豊かさをいかしながら、仲間達と共にいろんな遊びを通して、楽しく、豊かに学べる世界を作り出せるよう、安全にも十分注意を払いつつ見守っていきます。
(今年度も、このコラムは、大塚園長が毎月執筆していきます)
        
                               【2024年4月】

ともにつむぎだす 〜希望の中で〜


遊びを通して成長する
 年度末を迎え、年長さんには最後の園スケジュールになりました。

 鹿島幼稚園を卒園して大学生になって、最先端の科学を研究しているという子が「僕は園にいたときはズーッと遊んでいました。」と話してくれたことがありました。鹿島幼稚園のスタッフは、子どもと「遊んであげよう」という発想ではなく、真剣に遊ぶ子どもたちと真剣に向かい合うという姿勢で子どもたちを見守っています。友だちと一所懸命遊んだ経験は、子どもたちを大きく成長させる力となります。遊びは、人に「遊ばせてもらう」のではなく、自ら「遊ぶ」ことで、活き活きとした経験となります。楽しい遊びを展開している子どものそばにいて、思わずその遊びに吸い込まれて、子どもたちの世界が更に大きく広げられるというのも、遊びを通して成長する世界の特徴です。
        
 現代社会では、大人と子どもの世界の境界線が消えて、時に、大人の価値観が子どもに押しつけられるということも起こってしまうようです。大人の価値観が一方的に子どもに押しつけられてしまったりすると、子どもはそこに自分を当てはめることに精一杯となってしまいます。そうなると、気持ちと体を目一杯に使った遊びは展開できず、常に大人が気になり、良い子でいるために、自分の心を閉ざしてしまうということも起こりかねないのです。
        
 鹿島幼稚園は、子どもたちが自分の心を素直に伸び伸びと表現できる世界を大切にしています。そのために、子どもの心の動きを感じて、必要な時にはサポートします。この一年、多くの愛を受けつつ、遊びを通して心も体も大きく成長した子どもたちは、春から、力強い一歩を踏み出します。
        
 (一年間お読み頂き、ありがとうございました。園長:大塚 愼)
        
                               【2024年3月】
信頼
 東日本大震災で起きた原発事故の問題も未だ解決途中である中、能登で大地震が起きてしまいました。被災者の方々の上に、神様のお守りを祈ると共に、支援への協力を続けていきたいと思います。

 先日、鹿島幼稚園でも、地震を想定した合同避難訓練を行ないましたが、今後も、大切な命を守るために、安心安全な保育を日々重ねていきたいと思います。
        
 鹿島幼稚園が行なっているキリスト教保育は、「子どもたちは、神様から命を与えられ、愛されているかけがえのない存在であり、その個性と人格をありのままに受け止め、尊重すること」を第一としています。
        
 その根底には、子どもたちを守り、育んでくださる神様への「信頼」があります。
        
 つまり、キリスト教保育とは、一言で言うなら、子どもを信頼するという保育なのです。
        
 子どもを守り、愛してくださる神様を信頼し、その愛によって成長していく子どもたちを信頼して、子どもたちの主体性を尊重し、子どもが自立できるよう支え、励ますのが鹿島幼稚園の保育です。
        
 鹿島幼稚園で過ごす子どもたちは、周りの大人や友だちの信頼を受けつつ、自分も他者を信頼して豊かな人間関係を育みながら、やがて来る春に、力強くステップアップしていくのです。
        
                               【2024年2月】
希望あふれて
 あけまして、おめでとうございます。

 二〇二四年も、鹿島幼稚園に連なる各ご家庭の皆様にとって、喜びあふれる年となりますようお祈りいたします。クリスマスには、年長さんのステキなページェントを始め、それぞれの学年で喜びの時が与えられ、クリスマスの恵みに満たされた年末年始を過ごせました。また、教会との合同バザーでも、子どもたちの笑顔あふれる楽しい時が与えられました。父母の会役員をはじめ、保護者の皆様に大きなご協力をいただきましたことを感謝いたします。
        
 聖書には、博士たちが、幼な子イエスの誕生を御祝いするために訪ねた日、幼な子の居場所を指し示す星を見て「喜びにあふれた」と記されています。
        
 昨年も、世界各地で、戦争のために小さな命が脅かされました。被災者の上に、神様のお守りをお祈りします。小さな命を支援するため、クリスマス献金から協力をさせていただきました。子どもたちの命が守られ、一日も早く、平和解決がなされるようお祈りします。
        
 遠く離れたこの鹿嶋に生きる子どもたちも、これから長い人生を生きていく中では、多くの喜びもあり、ときには心痛む出来事に出遭う事が有るかもしれません。しかし、その度に、年長さんのステキなページェントでも演じられた、博士たちを喜びにあふれさせた何よりも大きな救いである、イエスさまがそばで守っていてくださるという希望にあふれて、新しい年も、子どもたちと共に、元気に楽しく日々を過ごして行きたいと思います。
        
                               【2024年1月】